投稿

2月, 2014の投稿を表示しています

2009年8月1日Musée Maurice Ravel@Ville de Montfort-l’Amaury

イメージ
 ピアニストの岩崎セツ子氏に、パリに滞在中に是非一度は訪れなさいと勧められていた場所の一つで、以前から一度は訪問したいと願っていた作曲家モーリス・ラヴェルの住んでいた家に向かった。駅から遠く、タクシーも通らない田舎にあるため、小旅行かハイキングの感覚で訪れた。  その日は来客も少なく、とても気さくな管理人のおばさんが、ゆっくり丁寧に家中を案内してくれた。どの部屋もそれぞれの色やテーマがあるようで、それぞれの部屋がそれぞれ独立した不思議の国とでもいえそうな、また中庭は日本庭園の様式で、まさしく芸術家による趣味を凝らした自宅であった。    我々はピアノ弾きだという話をしたら、ラヴェルの作曲部屋にあった展示品であるはずのラヴェルが作曲で使っていたピアノを、親切にも弾いてみてくれと、触らせて頂いた。エラール社製のピアノで、同時代のプレイエル程の軽いタッチだった。このような機会があるとわかっていれば、ラヴェルの曲の一曲は練習してきたかったが、レパートリーになかったため、プーランクの小品を3曲弾かせて頂いた。管理人のマダムも、日本人科学者がラヴェルのピアノでプーランクの曲を演奏するのを、楽しげに聴いてくれた。

2009年7月29日Au Lapin Agile

イメージ
  夜はモンマルトルの丘の上、フランスのピアノ界に多大な影響を与えたピアニスト、アルフレット・コルトーの名を冠したコルトー通りの裏にあるラパン・アジル(Lapin Agile)という老舗の歌酒屋で、今ではめっきり少なくなった古きよきパリを楽しんだ。パリが最も華やかであった20世紀初頭まで、貴族はサロンで、庶民はこのような歌酒屋に集まり、それぞれ音楽や社交を楽しんでいた。お酒を飲みながら歌を楽しめるここラパン・アジルにも、多くの画家、詩人、作家、喜劇役者達が集まる芸術的なキャバレーだった。  その暗く狭い室内の一角に置かれた古めかしいアップライトピアノを弾いていた老人のピアノは、コンサートホールでグランドピアノを弾くクラシック音楽のピアニストの演奏とは全く違ったスタイルの、初めて感じる味のあるピアノに感動したと当時に、このスタイルのピアノも時代と共に聴けなくなってしまうであろうことに寂しさを感じた。